研究概要 |
今年度の主たる研究実績は、(1)2次元ウィグナー結晶における多体交換相互作用の計算と、(2)2次元希薄固体ヘリウム3における多体交換相互作用の計算である。前者については、WKB法に基づいて交換相互作用を精度よく計算する方法を開発することによって2体から6体にまでわたる交換相互作用の計算を行った。その結果5体交換や6体交換の寄与も決して無視はできないことが分った。同時に、磁場下での計算を行うことが実験との比較においては重要であることが明らかになった。その他にも実験結果と比較することによって,考慮すべき課題が見つかった。これらの問題は、次年度の研究課題である。この研究成果は、論文にまとめ、現在投稿中である("Multiple spin exchange in a two-dimensional Wigner crystal":M.Katano and D.S.Hirashima,submitted to Phys.Rev.B)。後者については、希薄固体相においては、基板ポテンシャルの影響が重要であることに着目して、基板ポテンシャルの効果を取り入れて交換相互作用の評価を行った。その結果高密度の場合とは定性的に異る結果が得られ、実験結果の定性的な説明ができる可能性があることがわかった。この結果は、2000年3月の日本物理学会にて発表予定である。
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