ここ10年来従来のBCS超伝導体とは異なる対称性を持つ異方的超伝導体が数多く発見されてきている。異方的超伝導体は超伝導ギャップにノードを持つことが特徴である。ノードを持つことを示すスタンダードな実験手段は例えば比熱、NMR、超音波吸収、STM等であるがこれらの実験ではノードの方向依存性を測定することができない。もっとも強力な実験手段は高温超伝導体で用いられたPhase Sensitiveな実験であるがこの方法は高温超伝導体でしか成功していない。ノードの方向は超伝導の引力の起源と強い相関を持つため重要であるにもかかわらずこれまで正確に決定されているのは高温超伝導体のみである。最近熱伝導度測定がノード方向を決める強力な実験手段であることが理論的に指摘された。熱伝導度は超伝導状態では準粒子のみに応答し、磁場、熱流、そしてノード方向の相対角度に対して値を変化させる。本研究ではHe^3温度で磁場を精密に回転できる装置を製作し具体的な実験をスピントリプレット超伝導体Sr_2RuO_4および2次元重い電子系超伝導体CeCoIn_5に対して行った。その結果Sr_2RuO_4では超伝導ノードは2次元面に平行に走っておりCeCoIn_5ではd_<x^2-y^2>的なノードを持っていることを示すことができた。
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