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2000 年度 実績報告書

カルコゲン合金の物性

研究課題

研究課題/領域番号 11640343
研究機関金沢大学

研究代表者

樋渡 保秋  金沢大学, 理学部, 教授 (20019491)

研究分担者 井川 敦志  京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80243004)
星野 英興  弘前大学, 教育学部, 教授 (30001861)
遠藤 裕久  福井工業大学, 工学部, 教授 (40025284)
小田 竜樹  金沢大学, 理学部, 講師 (30272941)
キーワード半導体-金属転移 / 液体-液体相転移 / カルコゲナイド / intermolecular interaction / infrared absorption / polarization / 高圧 セレン / FLAPW / 電子状態
研究概要

(1)液体As-Te混合系(10,20at.%As)の中性子回折実験を行った。構造因子S(Q)のQ=1.5Å-1近傍に弱いFSDPが見出された。これは-Te-As-As-Te-あるいは-Te-As-Te等、分子状のクラスターの存在を示唆する。また、全対分布関数g(r)の解析から、得られたAs-Te混合系の部分分布関数gTe-Te(r)は液体Teのg(r)と類似していることが明らかになった。Asに近接するTeの配位数はほぼ1.8で温度変化が小さく、Teに近接するTeの配位数は温度上昇により減少することを見出した。このことより、温度上昇によりTe-Teボンドの熱的切断が容易に起こり、鎖長は短縮すると考えられる。さらに、中性子回折の結果をもとにEXAFSデータの解析を行い、Te-Teボンドの温度変化を詳細に検討した。Te-Teボンドに長・短2種類のボンドが存在すると考えると、短いTe-Teボンドの配位数は温度上昇に伴って減少し、高温領域において長いTe-Teボンドの配位数がに増加することが明らかになった。高温における液体As-Te混合系の金属化には、長いTe-Teボンドの出現が関わると結論される。
(2)前年度に半経験的電子状態モデルで計算したアモルファスSeの赤外吸収スペクトルの形状を理解するための簡便な式を提出した。この式に基づいた解析の結果、排除体積効果に由来するSe鎖の2面角の中距離秩序が、伸縮バンドの2重ピーク構造を作り出していることがわかった。前年度に引き続き半導体や金属の振動スペクトルを平面波展開の密度反関数法を用いて計算するためのプログラム開発を行った。
(3)液体As-TeおよびSe-Teが共有結合を保持しながら半導体-金属転移を起こす機構を解明するために、種々の温度・組成で磁気抵抗とホール係数の測定を行った。半導体領域では磁気抵抗は観測されないが、金属領域で正の符号の磁気抵抗が現れる。磁気抵抗を伝導度に対してプロットすると、As-Te及びSe-Teともに、組成によらず同じ曲線上にのり、金属化と共に急速に磁気抵抗は大きくなる。一方、液体As-Teのホール係数は、半導体領域ではほぼ一定の値であるが、金属化が始まると伝導度の増加に伴って急激に減少する。
(4)圧力を印加したことによるセレンの電子状態変化や相転移機構などについて密度汎関数法を用いた研究を行って来たが、本年度は、Se-III相およびSe-IV相の電子状態計算を新たに行った。Se-IV相では、単位胞内での原子位置の最適化を行った結果、Se-V相の電子状態に非常に類似したものを得た。これは、Se-IVからSe-Vへの相転移が、2次的である実験事実と合致し、我々の得た原子配置は、X線回折ピークの消滅則とも矛盾しない。高圧下ので実験データは、格子定数など限られた情報を与えるだけであるが、我々の計算手法と組み合わせることで単位胞内の原子位置を特定し空間群の決定に至った。Se-IVに関しては、本研究により有力な原子構造モデルを提案できたと考えられる。Se-III相では、良質な結晶が作製できていないことから、最近接原子間距離が1種類存在するか2種類存在するといった局所構造が議論されてきたが、標準的結晶構造においては、最近接の結合長が1種類の時の方がエネルギーが低く安定であった。また、Se-II相の結晶構造を用いてセレン-テルル混合系結晶の安定性を全エネルギーとバンド分散を計算することにより議論したが、実験結果に対応した結果を得るところまでは、至っていない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] H.Endo,H.Hoshino,H.Ikemoto and T.Miyanaga: "Semiconductor-metal transition in liquid As-Te mixtures"J.Phys.: Condensed Matter.. 12・28. 6077-6099 (2000)

  • [文献書誌] M.Geshi,T.Oda and Y.Hiwatari: "Electronic Structures and Phase Transitions of Selenium under High Pressure with FLAPW method."Prog.Theor.Phys., Suppl.,. 138. 249-250 (2000)

  • [文献書誌] M.Geshi,T.Oda and Y.Hiwatari: "Electronic Structure and Structural Stability of the Hight-Pressured Orthorhombic Phase of Selenium. "J.Phy.: Condens.Matter.. (印刷中).

  • [文献書誌] K.Nakamura and A.Ikawa: "Inter-chain interaction in semi-conducting liquid and amorphous selenium"Prog.Theor.Phys.Supp.. 138. 266-267 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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