本研究の目的は、「非フェルミ液体」的振舞いを示す典型物質であるCeNi2Ge2のフェルミ面を実験的に決めることである。そのためにドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果を測定する事を計画した。本研究においては、純良単結晶作製の成否が決定的に重要であることから、11年度は純良結晶育成を中心に捉えた研究を行った。結晶育成について得られた知見は以下のとうりである。 1 原材料であるCeを、エレクトロトランスポート法または超高真空浮遊帯溶融法によって予め純良化することが、不純物の少ない結晶育成に重要である。 2 結晶は[001]方向に成長させることにより、サブグレインやモザイク構造の無い結晶を育成できる。溶解時のNiとGeの組成比を化学量論比から1%振ると、c軸の格子常数が約0.1%変化するとともに、残留抵抗値も大きくなる。この理由は、NiとGeの置換によるものと考えられるが、系統的な研究が今後の課題である。 3 育成した単結晶を、さらにエレクトロトランスポート法により純化することによって、残留抵抗値(0.5K)が1.5μΩcm以下の結晶を、恒常的に育成できるようになった。 ここで得られた試料を用いて、dHvA効果の観測を試みる予定である。なお、参照物質としてのCePd2Ge2の単結晶引き上げも行った。
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