研究概要 |
磁気秩序と強誘電性自発分極の共存,それらの間の相関について以下の研究を行った. 1.YFe_2O_4では,これまでに調べたLuFe_2O_4などと異なって,対称性の異なるいくつかの電荷秩序相が低温で逐次的に現れることを見出し,これとRイオンの大きさとの関係を議論した.(結果の一部を国際強誘電体会議で発表.論文準備中.) 2.ZnCr_2O_4のネール温度12.5Kよりも高温側の広い温度領域で現れる誘電分散を反強磁性形成に伴う結晶格子の変化に関係つけて説明した(論文印刷中).同形の酸化物ZnMn_2O_4でもネール温度に誘電異常があることを見出した.なお,ZnCr_2O_4のスピン構造の解析が進行中である. 3.YMn_2O_5の中性子回折,メスバウアー効果および現象論による解析によって,そのスピン構造を推定した.また,RMn_2O_5の構造の結晶化学的検討から,R^<3+>イオンの変化に伴って,Mn^<3+>イオンの配位多面体の形状が系統的に変化することを示唆した(論文投稿中). 以上の結果から,RMn_2O_5では,反強磁性長距離秩序の形成が自発分極の原因となるMn^<3+>と酸素イオンとの相対変位を引き起こしているという描像に達した.これらをまとめた論文を計画中である.
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