研究課題/領域番号 |
11640364
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 武郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00004424)
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研究分担者 |
松本 宏一 金沢大学, 理学部, 助教授 (10219496)
SHESHIN G. A. 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | ^3He-^4He混合液 / 相分離現象 / 界面成長係数 / 量子核形成 / 超音波 |
研究概要 |
^3He-^4He混合液の^3He希薄相(d相)において、^3Heの過飽和状態を実現し、そこからの^3He濃厚相(c相)の核形成実験研究の結果によれば、約10mK以下の温度域では臨界過飽和濃度は温度依存性を示さなくなる。この事実は、量子核形成を捉えたものと考えられている。一方、約10mK以上500mKまでの温度域では、臨界過飽和濃度は温度上昇と共に増大している。この事実は、エネルギー散逸の効果によって量子核形成が抑制されていることを強く示唆するものである。 量子核形成過程においては、c相-d相境界面の運動が重要な役割を果たしている。この界面の運動に伴うエネルギー散逸機構を明らかにすることが、本研究の目的である。 この目的のために、平衡状態にある混合液He^3-He^4相分離界面に超音波による圧力擾乱を与え、その応答より、界面における超音波透過係数及び反射係数を求める。そのデータより界面成長係数を求める、という実験を準備して来た。超音波振動数は10MHzである。 これまでに得られた主な結果は以下の通りである。 1.d相の^3He濃度を0から飽和濃度まで段階的に変化させ、音速、及び減衰定数の^3He濃度依存性を明らかにした。これは初めての実験結果である。理論は既に存在しており、実験と理論との対応は極めて良いことが示された。 2.減衰定数が大きい^3He-^4He混合液のデータから界面の情報を取り出す実験上のアイディアを実現した。 3.この方法により、得られた界面成長係数は約100mKから、温度降下と共に著しく増大することを見出した。 この最後の結果は、核形成現象の解明に大きく寄与すると考えている。
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