研究課題/領域番号 |
11640369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
初貝 安弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80218495)
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研究分担者 |
守田 佳史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10292898)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | Bloch電子 / 量子群 / 磁場 / 量子ホール効果 / 超伝導 / トポロジー / ハバード模型 / 乱れ |
研究概要 |
[1]ブロッホ電子と量子群に関して 周期的な結晶場の中を運動する電子であるブロッホ電子の磁場中でのエネルギースペクトルはホフスタッダーのバタフライとして自己相似的なフラクタルの例である。この系は驚くべきことに量子群という数学的構造と密接な関係にあることが最近、我々の研究等によりわかってきた。本年はその解析で現れるべーテ仮説型方程式を弱磁場の極限で解析的に取り扱うことにより格子系から連続系へのいわゆる連続極限を解析的にとることに成功した。その結果はホフスタッダーのバタフライから通常のランダウ準位を再現したと解釈できる。これは可解模型におけるベーテ仮説型方程式の有限サイズ補正の解析計算に対応し、その対応を考えるとブロッホ電子系におけるConformal field theoryの応用まで視野に入れた重要な結果である。 [2]量子ホール転移における総和則の重要性。 量子ホール効果において弱磁場もしくは乱れの強度が増加すると量子ホール状態は壊れ絶縁体に転移していくと考えられる。これは古くからの重要な問題であったが数値的困難より、その理論的理解が不十分であった。この問題に関して、位相不変量の総和則の観点から数値的研究をも行いホール伝導度の揺らぎ、アンサンブル平均の物理的意味にまでさかのぼる理論的に重要な結果を得た。 [3]異方的超伝導におけるトポロジカルな効果と新しい選択則 異方的超伝導は最近理論、実験両面から興味を持たれている問題であるが、この系において粒子-正孔変換を行うことにより、量子ホール効果の我々の理論を援用し超伝導相を位相不変量により特長づけることに成功した。さらにその解析を進めることによってその位相不変量に関する選択則を導いた。それは量子ホール効果の場合と異なる新しい選択則であった。 [4]d波超伝導における磁場効果と磁場中のブロッホ電子の間の代数的な双対性に関して d波超伝導における磁場効果と磁場中のブロッホ電子の問題の間に新しい代数的な双対性の存在を見いだした。私たちの見いだしたこの双対性は異方的超伝導体特にd波超伝導における磁場効果をある程度よくしられた磁場中のブロッホ電子系での研究成果を用いて議論する可能性を開拓するものであり、物性論における代数的効果の典型例と考えられる。またこの成果は理論的および実験的にも新しい幾つかの事実を意味しその物性論における重要性は非常に大きい。 [5]量子ホール効果におけるホールプラトー間転移に関して この複数年基盤研究として行ってきた量子ホール効果におけるホールプラトー間転移に関して、特にその位相幾何学的な観点と数値的計算による研究をある程度まとめた形で幾つかの論文としてまとめ発表した。その結果量子ホールプラトー間転移に関して新しい観点からの独自の視点からの記述が全体として完成し、実験とコンシステントないわゆる直接転移に関する理論が完成したと考える。なお通常の単純な理論ではホール伝導度の変化は常にe^2/hの整数倍であるような逐次的な転移のみ許され実験と一致しないことをコメントする。 [6]電子正孔対称性と電子相関に関して 電子正孔対称性を持つ模型として2次元、3次元のハバード模型をとりあげそこでの電子相関と乱れの競合を量子モンテカルロ法により検討し電荷圧縮率からモットギャップの安定性に関してその次元依存性に着目し研究を行い新たな知見を得た。 [7]代数的に決定される乱れた系のゼロモードにおけるレプリカ対称性の破れに関して ランダム系におけるカイラル対称性は最近理論的に注目を集めているがそのカイラル対称性の直接の帰結であるディラック粒子のカイラルゼロモードに着目した研究を行いそのレプリカ対称性とその破れに着目した研究を行い新たな知見を得た。
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