研究概要 |
遷移金属酸化物などいわゆる強相関電子系といわれる物質系では、密度汎関数理論を超えた取り扱いが要求される。本年は(1)LDA+U法による取り扱い、(2)GW近似による取り扱い、(3)動的平均場近似と密度汎関数理論の結合、の3つを行った。 LDA+U法により取り扱った系は(1-a)La_<7/8>Sr_<1/8>MnO_3,(1-b)YNiO_3,NdNiO_3である。 La_<7/8>Sr_<1/8>MnO_3においては、2a×b×cの超格子単位胞が形成され、そこに正孔が導入されたことによる特徴的な電荷整列、軌道整列を見出した。正孔は1つのac面上でa方向に広がるストライプを形成している。YNiO_3ではNi^<2+>,Ni^<4+>の電荷秩序があらわれる。これはYの大きな原子半径が原因である。一方、NdNiO_3ではNi^<3+>となり電荷秩序、軌道秩序はない。また軌道秩序がないことから磁気整列のタイプも決めることができる。(2)ではGW近似のプログラムを整備し、応用範囲の拡大を目指している。(3)では、強相関系における金属-絶縁体転移を、物質に即して定量的に議論することを目的とし、その準備をすすめた。
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