研究概要 |
(1)単純化したモデル(toy cmodel)による研究2変数から成る簡単なストカスチックな模型を作る。これの近似解は最近Schmitz達が出した詳細釣り合いを充たすMCTの方程式と類似のものを与える。又この模型で変数がN成分を持つように拡張するとNが無限大の極限で先程の結果が近似無しに得られる。今後この模型を変更しLeutheusser, Goetze達のモード結合方程式と類似のものを得るようにしたい。これら2つのモード結合方程式は質的に異なって居り、この違いに基本的な立場から理解を深める事を目指す。その際この簡単化した模型を計算機で研究する事も重要になる。この模型の立場から後述の動的密度汎関数理論の基礎を理解する事も可能になる。(2)動的密度汎関数理論静的な動的密度汎関数理論は液体の微小なスケールでの現象(結晶や界面の構造等)を連続体の立場で理解する試みで既に膨大な研究の蓄積がある。又この理論は微小スケールでのMCTとはコンセプチュアルな面でも密接に関係している事が解ってきている。ここにMCTを微小なスケールまで応用する事の一つのラショナルを見出す事が出来よう。又ガラス転移のMCTは緩和時問がせいぜい3桁位増加する初期の段階でのみ正しいと言うのが専門家の間のほぼ一致した意見である。しかしガラス転移に際しては緩和時間は14桁にもわたって増加する。これらの事情を踏まえてMCT機構を取り入れ更に14桁にもわたって増加する緩和時間をもカバーする理論として動的密度汎関数理論を提案し若干の数値計算を行った円。結果は充分将来の可能性を示峻するものであったが未だ不十分であり継続する必要がある。
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