研究概要 |
Ar^<q+>(q=7,8,9)イオンとN_2分子およびCO分子との電荷移行衝突における分子の解離過程が調べられた。 1.実験方法 衝突によって個数の変化したプロジェクタイルイオンあは、30°型偏向電極によって価数分析され、その価数に対応した位置の情報として蓄積される。一方、反跳分子イオンおよび解離イオンは引こう時間差法を用いて価数分析される。これら2つの価数分析とともに、多重同時計測システムを用いて2つの信号の同時性を分析し、多重電荷移行とそれにつづく分子の解離過程を識別する。 2.N_2分子 複数の解離のチャネルについて、解離エネルギーが決定された。また、解離の分岐比が見積もられた。解離エネルギーは単純なクーロン爆発モデルから予想される値より小さい結果を与える傾向にある。 3.CO分子 N_2分子に引き続きCO分子の解離過程の研究が進められている。CO分子はN_2分子にくらべて解離過程はさらに複雑になるため、全ての解離チャネルを同定するには至っていない。飛行時間測定の時間分解能をさらに向上させて研究を継続する。 4.多重同時計測法の確立 芝浦工集大学の吉野らによって開発が進められてきた。それによると、プロジェクタイルイオンの2次元分析と反跳イオンの2次元分析の間の同時計測が可能となる。システムの開発は完了しており、平成12年3月性能テストをかねて予備実験を行う。
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