1.Arガス封入のプリズム付直流放電管を設計し、これにエヴァネッセント波レーザー誘起蛍光やレーザー誘起エヴァネッセント波蛍光の新しい分光法を適用させ、Ar準安定励起原子の誘電体表面での密度を定量的に見積もった。これは今後の定量値決定のための基準として使用できる。 2.実用化が注目されているプラズマディスプレイパネルは原理的には微視的寸法のマイクロ・バリアー放電であり、その誘電体表面とプラズマ粒子との相互作用の解明が最重要課題となっている。レーザー誘起エヴァネッセント波蛍光分光法はこの解明に適しており、まず巨視的寸法のバリアー放電を取り上げ、その誘電体表面におけるプラズマ計測を開始した。そしてバリアー表面におけるAr準安定励起原子の密度を測定すると共にプラズマ内での時間変化や空間分布から壁電位の重要性を指摘した。 3.レーザー誘起エヴァネッセント波蛍光分光法のスペクトル形の計算結果の特色を生かし、スペクトル信号の対称性を吟味するためには、信号対雑音比の向上が必要であることが分かった。その向上のためには使用する半導体レーザー波長の選択が重要である。従って、新たに812nmの半導体素子や光学系を購入し、上記1、2の新たな実験を始めている。 4.レーザー誘起エヴァネッセント波蛍光分光法をプラズマ中のイオンに適応すると、今まで直接計測の困難な壁電位の測定が可能と予測される。この実験のためにはBaイオンを用いるのが最適と考えられ、現在プラズマへのBa導入方法の確立を終え、近い将来にエヴァネッセント波分光法を適用する予定である。
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