研究課題/領域番号 |
11640394
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 義朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40226907)
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研究分担者 |
熊倉 光孝 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30324601)
藪崎 努 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60026127)
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キーワード | レーザー冷却 / 時間反転対称性 / 永久電気双極子モーナント / 光トラップ / フェルミ粒子 / 超冷衝突 / シュタルク効果 / ファラデー回転 |
研究概要 |
まずYb原子の交差型光双極子トラップに成功した。2本のビームの交差領域での原子密度を見積ると約10^<14>/cm^3と非常に高密度であり、その原因を調べた。トラップ中の原子の振動周波数をパラメーター共鳴により実測し、また光トラップ中でのライトシフトを実験でもとめ、約10^<14>/cm^3という値の妥当性を再確認した。より、直接的な方法として、2本目の光トラップビームを遅らせて入射させる、というあたらしい光トラップを行ったところ、交差領域には、原子が衝突によって熱平衡化していく様子が観測された。さらに、同位体によって、この熱平衡化のしかたが大きく異なることを見い出した。また、異なる同位体を同時に光トラップすることに成功した。前述の遅延型交差型光トラップを、ボース粒子とフェルミ粒子の混合気体で行い、協同冷却効果を確認した。フェルミ粒子単体では、あまり交差領域に熱平衡化しないが、ボース粒子を混入させることにより、フェルミ粒子の熱平衡化が促進されることが観測された。さらに、我々は、原子を冷却するために蒸発冷却を行い、約4マイクロ度という非常な低温を実現することに成功した。 以上のように、本研究課題でこれまでに、冷却原子の永久電気双極子モーメント測定のために必要とされる、1)高電場の冷却原子への印可、2)光双極子トラップへの移行、3)光トラップ中での光ポンピング、4)光トラップ中での冷却、5)光トラップ中でのフェルミ粒子の協同冷却、6)極微少領域への高密度光トラップ、を実現することができ、大いに成果があった。
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