光路差可変のマイケルソン型干渉計を試作し、その基本性能を調べた。2光束を重ね合わせる際に、一方の光ビームの光路長をステップモーターを微動ステージで変化させ、スペクトルを得る。ステップモーターの刻み幅が大きいため、ピエゾアクチュエーターを用いて微調整し、補正もおこなった。両方組み合わせたときのバンド幅は、ピエゾアクチュエーターを駆動するDAコンバーターの精度で決まるが、バンド幅はまだ正確に見積もっていない。ステップモーターおよびピエゾアクチュエーターの簡単な制御と、繰り返しスペクトル測定を行って積算するシステムを開発し、基本性能をチェックしている段階である。 現時点での問題点は、ステップモーターを1ステップ動作させると、安定するまでに時間がかかるため、データ取り込みレートおよび繰り返しレートが高くできない点である。駆動パワーと駆動部分の質量を適当に選ぶことにより、機械的な減衰振動を除去し、ステップモーターの時間応答性を改善する必要があることがわかった。一方、ステップモーターの繰り返し位置再現性をかなり良いことがわかった。 性能試験として、水銀546.1nm線の超微細構造スペクトルをファブリ・ペロー干渉計で分離し、上記のマイケルソン干渉計で可視度を測定している。ビームの平行度を改善するために、ピンホール、微動ステージ、アクロマティックレンズによる、空間フィルターを構成したため、光学系の調整がきわめて容易になった。
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