今年度は、光路長の可変に主にピエゾアクチュエーターを用いる、2光束の通常のマイケルソン型干渉計を作成し、ピエゾ駆動システムのチェックを行った。性能試験として、ファブリ・ペロー干渉計を併用しながら上記のマイケルソン干渉計により、水銀の超微細構造スペクトルの可視度を測定した。広い波長帯域で干渉度を上げるために、ビームスプリッターを広帯域ハイブリッド・キューブプリズム型に変更し、ほぼ可視全域で100%の干渉度を得ることができた。 問題は、コーナーキューブプリズムを駆動するピエゾアクチュエーターのヒステリシス特性が大きく、DAコンバーターで制御する場合、移動距離を大きくするとリニアリティに問題があることである。そのため、位置の分解能の点では十分なのにもかかわらず、フーリエ変換によるスペクトルを得ることができなかった。He-Neレーザーをリファレンスとしてフィードバックをかけられるよう、ピエゾ駆動システムをクローズドループ型に変更することにより、この問題は解決できる見込みである。 干渉計を用いたスペクトル測定においては、駆動システムの精度が性能を左右する。本研究の目的には3光束を重ね合わせる干渉計が必要であり、可変光路長のうち少なくとも1つはステップ的に光路長を変化させなくてはならないことが、基礎実験の段階に時間がかかった理由である。
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