研究概要 |
ミクロンサイズの微粒子は可視光線の波長よりは大きく,Mieによると微粒子のサイズで決まる特定の波長で共鳴することが知られている。本研究ではミクロンサイズの液滴を光共振器と考え,その光散乱特性とレーザー発振作用とを研究した。 実験は,色素の希薄グリセリン溶液(〜10^<-4>mol/L)から単一の微小液滴を作り,これを帯電させ交流電場のもとで空中に静止させた状態で観測した。このため発光体を含んだラテックス球や基板上の液滴として観測されているものと違い,本研究で扱う液滴は理想的な球にきわめて近いものと考えてよい。このため理論との精密な比較が行いやすいという特徴を持つ。本年度は次の研究を行った。 1.弾性散乱光強度の角度分布の波長依存性を観測し,Mie散乱理論で解釈した。この結果から微粒子のサイズを決定した。 2.ポンプレーザーで励起された液滴内の色素分子は微粒子共振器の共鳴波長でレーザー作用を示すことを観測した。発振波長とその強度とが粒子サイズや色素濃度,ポンプ光強度へどのように依存するかを調べた。この共振器のQ値は非常に大きくきわめて効率よくレーザー作用を示すことがわかった。
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