北西太平洋での下部マントル中央の不均質構造について、アメリカ西部の短周期地震計ネットワークのデータを用いて調べた。その結果、千島列島からマリアナに到る島弧の海洋側の下部マントル、深さ800km〜2000kmに約10個の小規模不均質が検出された。また、マリアナから伊豆ボニンの東方の下部マントルにおける不均質構造を詳細に調べた結果、およそ300kmの間隔を持つ3つの南傾斜の層構造を成すことが明らかとなった。各々の層の水平拡がりは、およそ500kmから300kmであり、かつそれぞれが10km程度の非常に薄い層からなっている可能性が波形の解析から示された。このように小規模で強い不均質構造は、化学組成が周囲のマントルと大きく異なる領域を表しているはずであり、マントルの進化と対流の様式に大きな制約を与える観測事実である。
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