研究概要 |
本研究は宇宙科学研究所で進められている月内部構造探査計画(Lunar-A)で取得される月震データから月の内部構造を推定することが目的であった.しかし,機器開発の遅れなどからこのミッションが2003年に延期されたため,本研究の当初の目的は達成できなかった.このため,平成12年度の研究成果は11年度の成果を発展延長するものとなった.具体的には,(1)apollo計画が取得した連続月震データのデータベースの作成およびデータ解析ツールの作成,(2)複雑な散乱波形を計算できる合成波形計算手法の効率化を行なった.Lunar-A計画ではMVロケットの積載重量の制限から僅か2機の月震計の記録しか利用できない.そのため,apollo計画で取得されたデータはLunar-Aのデータ解析においても深発月震の同定など重要な意味を持つ.この月震データのデータベースを作成することで,将来得られるであろうLunar-Aの月震波形データから深発月震を効率良く判定する素地が得られた.また,作成したデータベースはhttp://www.geo.titech.ac.jp/lunarA/に公開してある. また,Lunar-Aではapolloの月震計の10倍の感度の地震計を投入する.このため,同程度の月震に対して約10倍のS/Nを得られるであろう.この波形データの情報を十二分に利用するため合成波形計算法であるDSM法の効率改善を行なった.
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