研究概要 |
1.松代群発地震地域内の湧水を化学分析および同位体分析した.その結果,地震を発生させた深部源水の組成が推定できた.例えば,主要陽イオン,陰イオン,Na^+,Cl^-,の濃度はそれぞれ,310、330meq/lであった. 2.糸魚川-静岡構造線上にある諏訪湖温泉の源泉から採水し,化学分析を行った結果,源泉によってイオン濃度は大きく異なるにもかかわらずNa^+対Cl^-の比は一定値であることが判明した.これは,すべての源泉が一つの高濃度の深部源泉とつながっていることを示している.すなわち,一つの断層線であろうと推定される. 3.長野県西部地震地域の温泉・冷泉の化学成分を分析した.推定断層との明瞭な関係は見えなかった.御嶽山に近いほどSO_4^<2->の濃度が高く,硫黄成分は火山性のものであろう推定される. 4.糸魚川-静岡構造線の北半部にある白馬地域の温泉の一つ,倉下の湯(深度1050mから自噴)の化学成分の経時変化を観測している.2000年になって,イオン濃度が下がる(SO^<-4>を除いて)と共に温度も下がり続けている.地殻変動との関連は明瞭には見えないので,今後観測をつづける必要がある.
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