研究概要 |
筆者らは,九州の陸域におけるMT観測から,九州における長周期の誘導磁場変化ベクトルが西に偏よる事実を見いだし,九州西部海底下の地殻が高電気伝導度で地殻浅部が融解していると推論した.研究の目的は,この問題を明確にするために既存の海底電線を活用して九州西部海域の地電位データを蓄積し,MT解析を行って海底下の電気伝導度構造をより直接的に求めることにある. 観測的には前年と同様,NTTの芦辺局において対馬〜壱岐,壱岐〜福岡,長崎柿泊局において福江〜長崎,永吉局において鹿児島〜屋久島と鹿児島〜奄美,沖縄局において伊佐浜〜座間味と座間味〜久米島の海底電位観測を実施した. 芦辺局では対馬および前原の近海でケーブル切断事故が発生し,観測は平成13年12月に中断,沖縄局での観測は予定した資料が取得でき,平成14年2月に中止した.永吉局の観測は屋久島,奄美側からの検定が必要で次年度に持ち越す.また,柿泊での観測はケーブルが良好で観測の維持も容易であるから本研究終了後も継続する. この研究により,浅海の海底電線を用いたMT観測手法はほぼ確立できた.また九州西方海底下の地殻電気伝導度は,陸域の観測から予測されたように高い解析結果が得られ,当初の目標をほぼ達成できた. 解析の不十分な部分もあるので,取得されたデータを公開するべく準備している.
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