外惑星系の衛星の多くは、表面がH2Oの氷ではなく、窒素・メタン・二酸化炭素の氷であることが、ボイジャー衛星や地球からの光学観測でわかっている。従来、このようなノンウォータアイスの物性はほとんど分かっておらず、融点・結晶系・光的反射率程度の性質のみが知られているに過ぎない。しかし、これらの物質が固体惑星・衛星の表面を構成していることからそれらの弾性的・非弾性的性質を知って地質学的な進化過程を明らかにする必要がある。 研究課題を遂行するため変形実験を低温下で行うこととし、本研究を開始した。この実験研究では良質の空隙率の小さい試料を作ることがまず必要であり、初年度として試料作成装置の立ち上げと変形実験装置の設計・製作を行った。試料には二酸化炭素をまず、試み、市販のドライアイスのような空隙率の大きなものではなく、透明な多結晶試料を製作できた。気体から直接固体に凍らせるのではなく、10気圧程度に加圧して冷却し、固体を生成させる。この試料の質は弾性波速度の測定により、チエックし、変形実験を開始した。まだ、予備的な結果ではあるが、二酸化炭素の氷は、融点近傍ではアスファルト程度のものであるが、温度の低下とともに急激に硬くなる、粘性率が増大することが明らかになった。これは窒素氷・メタン氷とは異なった性質である。 以上の成果は11年11月の惑星科学会秋期講演会で発表した。
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