研究課題/領域番号 |
11640423
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662)
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研究分担者 |
巨瀬 勝美 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (60186690)
曽根 敏雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
山田 知充 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50002100)
八久保 晶弘 北見工業大学, 工学部, 助手 (50312450)
田口 善弘 中央大学, 理工学部, 助教授 (30206932)
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キーワード | 核磁気共鳴 / 積雪 / 可視化 / MRI / 三次元構造 |
研究概要 |
本研究は、核磁気共鳴(NMR)映像法を適用し、積雪3次元ネットワーク構造の可視化とその定量化を行うことが目的である。本年度は昨年度開発した積雪試料冷却装置とNMR可視化システムを用いて氷球としもざらめ雪の3次元NMR画像を取得した。特に氷球は粒径が3mm程度と十分に大きく、大きさがほぼ均一なので、画像取得試験に理想的であった。積雪の可視化の場合、氷からのNMR信号は微少であるため、浸透性がよく、融点が-12℃程の有機化合物であるドデカンC_<12>H_<26>に常磁性試薬(C_<15>H_<21>O_6Fe)を加えてT1を短縮した溶液で積雪の空隙を満たし、ドデカンをイメージングすることとした。 実験の結果、ボクセルサイズ0.2mm^3の積雪3次元イメージを取得する事に成功した。信号積算を行ったため、1つの3次元イメージの測定時間は30〜60分であった。氷球の2次元断層図より各断層の空隙率を求めると、その平均値は0.32、標準偏差は0.04であり、球の最密充填の空隙率とほぼ同じ値が得られた。したがって得られた氷球の領域は妥当な値であったといえる。 取得した氷球の3次元データを元に、立体処理により様々な角度から立体視と断面を見ることができるシステムの開発を行った。さらに氷球の融解過程を連続的に観測する事を試み、このシステムを用いて従来の方法では不可能であった積雪の融解過程などの連続観察が可能であることを示した。 空隙をドデカンに置換して行う積雪のNMR映像法は積雪の内部構造を様々な角度や断層から可視化する画期的な方法であるといえた。また非破壊測定であるため連続観察が可能であり、積雪の変態を研究するための強力なツールとなることが期待される。今後は更なるSN比の改善に取り組むとともに、天然のしもざらめ雪のネットワーク構造を取得することを目指す。
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