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1999 年度 実績報告書

大気大循環における偏差パターン形成についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 11640427
研究機関東京大学

研究代表者

木本 昌秀  東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (30262166)

研究分担者 沈 学順  東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (40272538)
キーワード異常気象 / テレコネクション / パターン形成
研究概要

異常気象など数週間以上の時間スケールでの天候の変動を支配する大気循環の偏差パターンの形成力学に関して研究を行なっている。
本年度の成果の概要は以下の通りである。
・パターン形成を理解する力学的道具として,3次元的に変化する基本場のもとでの定常線型応答を計算するモデル,および与えられた大規模場の元での短周期擾乱の集団効果を計算するいわゆるストームトラックモデルを開発した。プログラムはなお詳細部分を調整中であるが,以下に述べる成果の一部はこのモデルによるものである。
・エルニーニョ現象の日本の天候への影響を再考察した。観測データの再解析により,エルニーニョに伴う大規模な下降流が西太平洋で対流活動を抑制し、これに伴う大気の冷却が,西太平洋亜熱帯域に高気圧性の循環偏差を生じさせ,日本付近へ暖湿流を送りこむ。エルニーニョ時に暖冬や冷夏となりやすいのはこのためであることがわかった。冷却源が循環偏差を創る力学メカニズムの詳細を定常応答モデルによって考察中である。
・エルニーニョ時に現れやすいとされる太平洋-北米テレコネクションパターンの形成には,エルニーニョに伴う熱帯の熱源だけでなく,中緯度ジェット気流の変形とそれに伴う短周期擾乱活動の変化も考慮に入れなければならないことを,定常応答モデルを用いて確認した。
・エルニーニョの顕著な熱帯太平洋の中緯度への影響は比較的よく調べられてきたが,熱帯大西洋の中緯度への影響の度合いは不明である。このことについて大気大循環モデルでの実験結果及び定常応答,ストームトラックモデルを用いた解析により,太平洋ほど顕著ではないが,一定の影響はあり,それは北大西洋パターンとして知られる大気の内部モードを選択的に励起することであることがわかった。
・中緯度大気を模したメカニスティックモデル内での大規模場と短周期擾乱の相互作用について解析を行ない,両者間に働く正のフィードバックが大気の主変動パターンの選択律として働いていることがわかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 伊藤久徳,木本昌秀: "Weather Regimes, Low-Frequency Oscillations, and Principal Patterns of Variability : A Perspective of Extratropical Low-Frequency Variability"Journal of the Atmospheric Sciences. 56. 2684-2705 (1999)

  • [文献書誌] 安富奈津子,木本昌秀: "エルニーニョと日本の冬季気候の関係について"グロースベッター. 37. 57-66 (1999)

  • [文献書誌] 渡部雅浩,木本昌秀: "Tropical-extratropical connection in the Atlantic atmosphere-ocean variability"Geophysical Research Letters. 26. 2247-2250 (1999)

  • [文献書誌] 熊倉俊郎,田村真紀子,木本昌秀: "現存植生分布と潜在植生分布を用いた大気大循環数値実験"水工学論文集. 44. 31-36 (2000)

  • [文献書誌] 渡部雅浩,木本昌秀: "On the persistence of decadal SST anomalies in the North Atlantic"Journal of Climate. 14(印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 高田久美子,木本昌秀: "Numerical study on impacts of soil freezing on continental-scale annual cycle"Journal of the Meteorological Society of Japan. 78(印刷中). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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