• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2001 年度 実績報告書

夏季アジアモンスーンとエルニーニョ南方振動の相互作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11640430
研究機関富山大学

研究代表者

川村 隆一  富山大学, 理学部, 助教授 (30303209)

キーワードモンスーン / ENSO / エルニーニョ
研究概要

NCEP/NCAR再解析データと海洋モデルの長期積分の結果から、ENSO現象がアジアモンスーン循環に影響を与えるプロセスは少なくとも二種類存在し、ENSOの数十年スケールの変調に伴い二つのプロセスが絡み合ってENSO-モンスーン関係を複雑にしていることが見出された。また、モンスーンシステムにおける大気海洋相互作用の重要性はモンスーン循環の経年変動のみならずモンスーンの急激なオンセットのメカニズムにおいても指摘できることを示した。
周囲を海洋に囲まれた孤立大陸では、プレモンスーン期の急速な地表面加熱による海陸間の熱的コントラストの増大は大陸スールの背の低い鉛直循環を生じさせる。この乾燥対流による鉛直循環は温度風平衡により対流圏下層では熱的低気圧、中層(600-700hPa)では熱的高気圧を伴っている。大陸スケールの熱的低気圧の発達に伴う地衡風成分の卓越は大陸の赤道側沿岸海域で西風応力偏差を誘起させ貿易風の弱化が生じる。スカラー風速の減少により海面からの潜熱フラックスは減少し結果的にそれらの海域では海面水温(SST)が上昇することがモデルで再現された。対流圏中層での熱的高気圧の発達により大陸沿岸の海域では下降流が強化される。大陸赤道側の上述の海域でも下降流が強まり熱帯対流活動を抑制することによって、雲量の減少に伴う海面への短波放射量が増加し、このプロセスもまたSSTの上昇に寄与していた。
下降流で熱帯対流活動を抑制している間、海面からの蒸発量の減少と短波放射の増加によりSSTはプレモンスーン期間で非常に高くなる。一方、中層の熱的高気圧は中緯度域(特に大陸の乾燥地域)からの乾燥移流をもたらす。熱的高気圧を伴った背の低い鉛直循環の組織化は水平・鉛直方向の移流プロセスを通して赤道側海域上の700hPa付近の中層への乾燥空気の流入を導く。これらの複合効果は対流圏下層の相当温位の鉛直傾度を増大させ対流不安定化が起こる。下降流による抑制が働いている状態で複合効果によりさらに対流不安定が強化されていく。この環境下でもしMadden-Julian振動のような、上昇流に伴う大規模擾乱が極端な対流不安定下の海域に移動してくると、劇的に深い積雲対流が確立する。これがまさにモンスーンのオンセットである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Inaba, H.: "Extraordinary persistence of foehn observed in the Hokuriku district of Japan in the 1999 summer."Joumal of the Meteorological Society of Japan. (印刷中). (2002)

  • [文献書誌] Kwamura, R.: "A mechanism of the onset of the Australian summer monsoon."Journal of the Geophysical Research. (印刷中). (2002)

URL: 

公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi