数値モデルを用いたPSCサンドウィッチ構造生成過程の考察の結果、上記液滴粒子と非常に数の少ない固体粒子の外部混合がサンドウィッチ構造のみならず、ライダー観測された後方散乱係数と偏光解消度の関係を再現することを明らかにした。観測(偏光解消度数%)は限られた個数の固体粒子数(10^<-3>から10^<-2>個/cc)でのみ可能であることが示された。固体粒子が存在可能な温度まで、せいぜい数日のオーダーで、PSCを含む空気塊の温度が低下していることが流跡線解析の結果明らかとなった。この時間スケールと固定粒子の個数から固体PSC粒子の核生成速度の最低値を見積もった結果、固体粒子の個数は液体粒子の個数に比べて非常に少ないが、現在唱えられている値に比べて5桁以上早い生成速度でなければならないことが明らかとなった。 このようなPSC粒子の特徴をより正しく再現するために、粒径方向にラグランジュスキームを用いたPSC微物理モデルを新たに構築した。このモデルは過冷却硫酸・硝酸・水の三成分系(STS)、及び硝酸・3水和物(NAT)粒子の外部混合状態とガス成分の凝結による成長を正しく再現することを確認した。このモデルは光化学モデルに組み込んで、PSC上の不均一反応をより正しく見積もることや、実際に観測データの解釈に広く応用可能である。
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