磁気圏尾部における粒子輸送過程

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11640439
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 寺沢 敏夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30134662)
• 研究分担者: 関 華奈子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研究員 ; 星野 真弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90241257)
• キーワード: 磁気圏 / リコネクション / プラズマ加熱 / 粒子加速 / フレア

研究概要

本研究計画はGEOTAIL衛星の高品質データをもとにして磁気圏尾における粒子輸送過程を定量的に明らかにすることを目的としている。本年度得られた主要な成果は、
1 磁気圏尾プラズマシートにおける電子・イオンのエネルギー交換過程についての新しい知見。観測データ解析と数値シミレュレーションの結果を用いて磁場拡散領域における電子とイオンそれぞれの粒子輸送過程の新しい理解が得られた。
2 今年5月中旬の異常太陽風観測によって得られたプラズマ輸送過程についての新しい知見。今年5月11日から12日にかけて太陽風の密度が1ccあたり0.3個を割る(通常の数十分の1以下)という異常な低密度の期間が起きた。この5月のデータの解析により太陽風・磁気圏間の粒子輸送についての新しい知見を得ることができた。
3 磁気圏尾に見られる電離圏起源の一価酸素イオンの輸送過程について、GEOTAIL衛星とFAST衛星のデータ比較により、新しい知見を得た。
4 GEOTAIL衛星粒子観測器により1998年8月27日の大γ線フレアを観測した。この現象の通説である中性子星磁気圏リコネクション説の当否について詳しい検討を行っている。

研究成果

• [文献書誌] Hoshino, M.: "Small scale plasmoids in the post-plasmoid plasma sheet : Origin of MHD turbulence?"Adv. Space Res.. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Hoshino, M.: "Slow shock downstream structure in the magnetotail"J. Geophys. Res.. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Hoshino, M.: "Non-Gyrotropic ions as evidence for an X-type netral region"Adv. Space Res.. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Mukai, T.: "Geotail observations of magnetic reconnection in the near-earth magnetotail"Adv. Space Res.. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Seki, K.: "Properties of He^+ beams observed by Geotail in the lobe/mantle regions : Comparison with O^+ beams"J. Geophys. Res.. 104. 6973-6985 (1999)
• [文献書誌] Seki, K.: "Origin and dynamics of mulit-component (H+/He++/He+/O+) ion flows in the lobe/mantle regions"Adv. Space Res.. 25. 1581-1590 (2000)
• [文献書誌] Seki, K.: "Cold flowing O^+ beams in the lobe/mantle at GEOTAIL : Does FAST observe the source?"J. Geophys. Res.. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Shinohara, I..: "Electron heating processes of the lower hybrid drift instability"Adv. Space Res.. 24. 43-46 (1999)
• [文献書誌] Terasawa, T.: "Comparative studies of flares and substorms"Adv. Space Res.. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Walker, R.: "Source and loss processes in the magnetotail"Space Sci. Rev.. 88. 285-353 (1999)