極域中間圏・熱圏における中性風の研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11640441
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 野澤 悟徳 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (60212130)
• 研究分担者: 藤原 均 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50298741) ; BUCHERT S. C 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (70293719) ; 藤井 良一 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (00132712) ; 大山 伸一郎 郵政省通信総合研究所, 奨励研究員
• キーワード: 下部熱圏 / 中間圏 / 極域 / 中性風 / EISCATレーダー / MFレーダー / 地磁気静穏時 / 全反射高度

研究概要

極域中間圏・熱圏の大気ダイナミクスのより深い理解と、地磁気擾乱時における熱圏大気の応答の解明が主たる目的である。そのためには、地磁気静穏時における下部熱圏大気運動の十分な理解、観測装置・手法の確立、大気シミュレーションモデルの改良・発展、などが必要となる。
本年度は主として、(1)EISCATレーダーで導出された中性風と大気シミュレーションモデルの比較研究、(2)EISCATレーダーデータから導出された大気潮汐波(24時間と12時間変動成分)と、大気潮汐波モデルとの比較研究、(3)2年分のトロムソMFレーダーデータを用いた、極域中間圏における大気波動の季節変化の研究、などを実施した。
EISCATレーダにより11年間にわたって取得された下部熱圏風のデータを基に導出した平均風、24時間、12時間周期成分の季節変化の解明を目指して、大規模大気シミュレーションモデル(NCAR TIME-GCM)との比較研究を行った。得られた結果は、 (1)平均風の東西成分に関して良い一致が得られた、(2)24時間周期成分に関しても、比較的良い一致が見られた、(3)12時間周期成分に関しては、その強度に大きな違いが認められる、などである。特に12時間周期成分の強度の違いは、TIME-GCMで用いられている重力波のパラメタリゼーションは十分進歩したが、まだ十分でなく、さらなる改良が必要であることを示している。また、モデルで用いる重力波の強度を半分にするとともに、下部境界での12時間周期成分の強度は2倍にすることにより、EISCAT観測データと良い一致が得られた。これを踏まえてTIME-GCMを用いて下部熱圏風で観測されている季節変化の理解を探ることが、次の課題である。

研究成果

• [文献書誌] Fujii,Ryoichi: "Energy coupling between the magnetosphere、 ionosphere and thermosphere"Advanges Space Research. 25(1). 213-218 (2000)
• [文献書誌] Kosch,M.J.: "A comparison of thermospheric winds and temperatures from Fabry-Perot interferometer and EISCAT radar measurements with models"Advanges Space Research. 26(6). 979-984 (2000)
• [文献書誌] Nozawa,Satonori: "A case study of the auroral E region neutral wind on a quiet summer day: Comparison of three methods of the EISCAT UHF radar for deriving the E region wind"Radio Science. 35. 845-863 (2000)
• [文献書誌] Maeda,Sawako: "Meridional Gradients of the Neutral Temperature in the Dayside Summer E-Region"Atmospheric Research. 14. 128-137 (2000)
• [文献書誌] Van Eyken,A: "First measurements of tidal modes in the lower thermosphere by the EISCAT Svalbard Radar"Geophysical Rescearch Letters. 27. 931-934 (2000)
• [文献書誌] Oyama,Shinichiro: "Effects of atmospheric oscillations on the field-aligned ion motions in the polar F-region"Annales Geophysicae. 18. 1154-1163 (2000)
• [文献書誌] Oyama,Shinichiro: "Generation of atmospheric gravity waves associated with auroral activity in the polar F-region"Journal of Geophysical Rescearch. (in press). (2001)