本研究ではLEF-TOF型高質量分解能プラズマエネルギー質量分析器の設計、試作、特性取得実験を3年計画で行うが本年度はその最終の3年目であり、昨年度に試作したLEF-TOF質量分析部の特性計測試験を昨年度に引続いて行い、問題点を解決するための改修を行った。また、一年目に明かとなった、検出器であるMCPアノードの問題点に対する対処を行い、その特性を取得した。更に、平成9年度、10年度に製作した視野角掃引型感度可変低エネルギープラズマ粒子エネルギー分析器をLEF-TOF質量分析部と接合する為の改修を行った。本年度はこの視野角掃引型感度可変低エネルギープラズマ粒子エネルギー分析器とLEF-TOF質量分析部とを接合して特性取得試験を行うところまでを予定していたが、質量分析部、エネルギー分析部、検出器のMCPアノード各々の改修が必要であった為、これら個別の改修と特性取得を行うのが時間的に精一杯であった。これらの改修と試験の結果、エネルギー分析部については、ほぼ予定通りの特性を得ることができた。MCPアノードについては一年目の結果よりはかなり問題点の改善が見られたが、スタート信号を取り出す為のメッシュの開口率によって特性が大きく左右されることが判明し、今後この開口率を数通り変化させることによって最適な特性を得るようにする必要がある。現在までにこの試験のための準備は終了している。また、質量分析部については、+-15kVという非常に高い電圧を使用する為、放電を防ぐ為の改修を行った。この結果改修を行った分析器ではこれまでのところ放電は起きておらず、今後、質量分析部、エネルギー分析部を接合して試験を行う為の準備は整ったといえる。今後数カ月をかけて、上記MCPアノードの最適化、質量分析部、エネルギー分析部を接合することによるエネルギー質量分析器全体としての特性計測を行い、結果を論文の形にまとめて公表する予定である。
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