研究概要 |
3年計画の2年目として,研究課題である「四万十帯のおける海嶺沈み込みと白亜紀末〜古代三紀テクトニクス」を明らかにしていくために,今回申請した研究計画に沿って研究を進めるために以下のことを,本年度は行った. ・「海嶺沈み込み」の年代を正確に特定するための基礎的資料とするために,後期白亜系から古第三系までの連続層序を持つ北海道の根室層群において放散虫化石群集の時代的変化を検討する目的で,昨年度に採集した北海道浦幌町に分布する根室層群のモカワルップセクションの分析用試料について,引き続き放散虫化石の分析を進めている. ・紀伊半島東部・伊勢志摩地域の四万十帯についての野外調査を行ったが,当該地域においては「現地性」と考えられる緑色岩は見いだせなかった.予察的ではあるが,トランスフォーム断層による海嶺のセグメント化によって海嶺そのものが通過しなかった可能性が考えられる. ・9月14日から24日アメリカ合衆国カリフォルニア州ブレスデン市において開催された第9回国際放散虫会議において本研究でそれまでに得られた成果を「Ridge collision and in situ greenstones in accretionary complexes:An example from the Late Cretaceous Ryukyu Islands and south-west Japan margin.」として発表し,各国の関係分野の研究者と議論を行い,新しい知見を得ることができた. ・本年度に計画していた関東山地南部の四万十帯についての野外調査については日程の都合上行えなかった.3年次の重要課題としたい. ・化石放散虫の研究との比較研究のために,現生放散虫の分布・季節変動を調べるために,紀伊水道において,プランクトンネットによる放散虫試料のサンプリングを行った.
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