研究課題/領域番号 |
11640461
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小笠原 憲四郎 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20110653)
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研究分担者 |
植村 和彦 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (50000138)
中野 孝教 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (20155782)
久田 健一郎 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (50156585)
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キーワード | 本州 / 下部中新統 / シークエンス層序 / 常磐炭田 / 秩父盆地 / 古気候 / 古海中気候 / 堆積環境 |
研究概要 |
研究目的によって本州の主要な下部中新統を対象に、シークエンス層序的な視点で野外地質調査を実施し、さらにこれらの堆積年代を検討するためSr同位体測定用化石試料の採集につとめた。平成11年度の野外調査は、秋田県阿仁地域、宮城県南部から常磐炭田地域、秩父盆地地域、福井県丹生山地地域、御前崎から掛川の地域、瑞浪盆地地域、知多半島、津市周辺地域、田辺から串本の紀伊半島などである。これらの地域の一部にはテクトニクスに関連すると考えられる異常な堆積物を含んでいるが、全体的には高精度の下部中新統の岩相柱状図を作成し、さらに新たにSr同位体の分析試料として、貝殻やサメの歯などを採集することができた。これらのSr同位体は、既存の分析機器の保守や整備を行いながら、目下分析資料を蓄積中である。また初期中新世の古気候や古海中気候の変遷をより詳細に復元するために、既存の層序・年代・化石資料等の収集と整理(大学院生への謝金)につとめ、これらを実際の野外調査資料と対照しながら地質記録を系統的に整理している。 その結果、これらの下部中新統の年代や化石などの層序的な取り扱いは、一部で数十万年の精度で検討できる段階に至っている。特に常磐炭田地域の湯長谷層群の層序と年代を基準として、陸域から浅海域に対応した化石群集の変遷が新たに把握され、これを秩父盆地や瑞浪盆地の層序・化石群集とほぼ確実に対比できることが明らかになりつつある。今後これらの年代・対比・化石資料などの他に、さらに関連する資料の充実をはかり、本州全体における下部中新統の精度の高い堆積環境の変遷モデルを構築すべく準備中である。
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