研究概要 |
厚歯二枚貝は、テチス海の縁とそれに隣接した地域にジュラ紀の終わりから白亜紀の終わりにかけて生きていた二枚貝である。この固着性の底生生物は炭酸塩プラットフォーム環境で繁栄し、重要なorganic builderや堆積物の生産者として各地の白亜紀の地層から豊富に産出するが、二枚貝としては特異な殻形態をもつ。 申請者は、従来より現生の二枚貝と藻類の共生関係についての研究を進めてきた。現生の二枚貝でも、共生藻類にたいして、十分な光を供給するために殻が透明になったり、あるいは、殻後部が以上に発達したりと、藻類と共生していない普通の二枚貝からは、大きく外れた形態をとっている。そこで、今年度は、現生の光共性の二枚貝との形態学的比較から、厚歯二枚貝における光共生関係があったのかなかったのかについて検証を行うことを目的に、いくつかの化石種について、検討を行った。サンプルは、ウィーン大学古生物学研究所において、白亜紀に繁栄した厚歯二枚貝の所蔵標本コレクションを使い、この超科の形態の多様性について、計測、写真撮影などを行った。 また、厚歯二枚貝の教科書として有名なCestari,R.and Sartorio,D.(1995)によるRudisto and facies of the Periadriatic Domain(Agip,S.p.A.,S.Donan to Milanese)の翻訳を行った。 来年度は、これらの成果にさらに新見地を加え3年間の研究のまとめを行う予定である。
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