研究概要 |
GeO2系ガラスの加圧による局所構造変化を調べることを目的に次の実験を行った。 1.高圧下でのジャーマネートガラスのEXAFSその場観察。 Li_2O-XGeO_2(X=1,2,3,4,5)ガラスを常圧下で合成し、その局所構造をEXAFSにより解析した。次にマルチアンビル型高圧発生装置と放射光を用いて、これら試料を室温において最高15GPaまで加圧しその構造変化をEXAFS測定によりその場観察した。その結果、約3-5GPaでゲルマニウムの配位数が4から6に変化することが分かった。また、この転移圧力はLi_2Oの濃度に依存し、ジャーマネート異常が報告されている組成(Li_2O-XGeO_2:X=2,3)ではより低圧側で高配位数への変化が起こることが明らかとなった。現在、より詳しいデータ解析を進めている。第三世代の放射光とマルチアンビル型高圧発生装置を用いた、最高15GPaまでの圧力領域でのEXAFS測定は世界で始めての試みである。今回のGeO_2ガラスに関してはこれまで、精度の劣るDACを用いた高圧下でのEXAFSその場観察の研究例があるが、今回得られたデータからより詳しい局所構造の議論ができるものと期待される。 2.高温高圧下でのジャーマネートメルト実験のための高圧セルの開発。 高圧下での融解反応を検出するためのDTA測定システムの開発を行っている。このシステムの反応熱検出の達成目標として石英のhigh-low転移の検出を目指している。まだ実験の再現性に問題が残るが、この固相反応の検出に成功した。また、ジャーマネートを高圧下で融解させることも可能となっているが、EXAFSによる高温高圧下でのその場観察が行えるよう、セルの開発を続けている。
|