1.マルチアンビルプレスと放射光を用いたXAFS測定により石英型GeO2(q-GeO2)とLi2O-4GeO2ガラス(g-GeO2)の室温高圧下での構造変化を14GPaまで調べた。 q-GeO2では約10GPaで4-6への配位数変化が始まり12GPaで完全に6配位となった。この高圧相は多くの欠陥を含む微少結晶からなると考えられる。減圧に伴い約6GPaで6-4への配位数の逆変化が起った(大きなヒステリシス)。この配位数変化は可逆的である。回収試料は非晶質で、Ge-O距離はg-GeO2のそれに等しく、さらにGe-OとGe-Geのσ2はg-GeO2と同等のランダムさを示した。 g-GeO2の配位数変化は、q-GeO2に比べ約2GPa低い、約8GPaで起った。減圧による逆転移は約8GPa以下で起り、そのヒステリシスはq-GeO2に比べ小さい。配位数変化を伴うこの構造変化は可逆的と考えられる。 GeO6八面体成分が既に含まれていても、約8GPa以下では配位数変化よりもGeO4四面体の圧縮(及びLi近傍の圧縮?)の方がエネルギー的に容易である。 2.キュービック型700トン超高圧発生装置を立ち上げ、GeO2の高圧下での融解実験を行った。LaCrO3の筒型ヒーターを導入することで3GPa、1900℃でGeO2を還元されることなく融解することに成功した。今後、このセル構成で放射光を用いた高温高圧下でのEXAFS測定を行う予定である(2001年度前期にSPring-8でビームタイムを得ている)。 3.キュービック型700トン超高圧発生装置を用いて高温高圧下での反応(特に融解反応)を検出するため高圧示唆熱分析システムを開発した。Ca(OH)2ポートランダイトを試料にその融解曲線を12GPaまで決定することができた。ポートランダイトの融解曲線は負の傾きを持ち、Ca(OH)2の融体がポートランダイトよりも高い密度を持つことを示す。8GPa以上では融解曲線が正の傾きを持つことから固体相に相転移が生じることが示唆され、これは高温高圧下でのX線その場観察によって確認された。また半定量的な熱測定を試み、金の高圧下での融解熱の測定を行った。
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