研究概要 |
今年度の研究計画は,実験に使用する試料の採集と記載,実験装置の立ち上げ,加熱維持実験の実施であった。試料の採集と記載については,単一鉱物からなるチャートの採集を異なる温度圧力条件でできた変成帯から行なった。それらの変成条件を決めるために必要な変成岩類も採集した。そして,温度圧力の決定に必要な岩石学的な記載を行なった。この記載に必要な,鉱物組成を交換成分を用いて表現する方法について,解説論文を発表した(研究発表の項参照)。さらにこの記載の過程で,温度圧力の時間変化を岩石組織から読みとれることを明らかにした。また,従来記載されていなかった新たな鉱物組み合わせを発見し,それによって温度圧力条件が刷新されることも明らかにした。以上の2点については,継続して解析しており,それぞれを諭文にまとめる予定である。 実験装置については,高温実験に必要な電気炉を購入した。しかし,温度制御に問題が生じ,温度監視装置を付随する対処を行なった。現在,温度の精度についての基礎実駿を行なっているところである。 加熱推持実験の実施については,上記実験装置にまだ,問題が残っていること,実験に使用する試料の記載に新展開が見られ,完了していないこと,の2つの理由から,実験の実施は来年度に行なう予定である。
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