研究課題/領域番号 |
11640485
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
江川 千佳司 宇都宮大学, 工学研究科, 助教授 (30151963)
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研究分担者 |
岩井 秀和 宇都宮大学, 工学研究科, 助手 (10311599)
南 伸昌 宇都宮大学, 教育学部, 助手 (80292572)
井野 正三 宇都宮大学, 工学部, 教授 (70005867)
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キーワード | モデル酸化物表面 / 偏光変調反射赤外分光 / 酸化ニッケル薄膜 / ギ酸 / 表面イソシアネート |
研究概要 |
「表面科学」の立場から粘土鉱物のモデル表面として、単結晶表面上に酸化物薄膜を創製し、この表面における分子配向について検討するために、以下の点について研究を進めた。 1.モデル酸化物表面の創製と評価 格子間隔の違いによる構造制御を目指して、まずNiおよびCu単結晶(100)表面を酸化して形成される酸化薄膜の構造を低速電子回折と走査型トンネル顕微鏡を用いて検討した。この結果、Ni(100)表面には最適条件として300K,酸素500L露出でNiO(111)酸化膜がNi[011]方位に基本格子を揃えた構造で優先的に成長することが明らかになった。また、Cu(100)表面における酸化膜のc(4x2)構造のSTMによる原子像観察の結果、これまでの表面構造モデルとは異なる酸素原子の吸着構造が見い出された。 2.モデル酸化物表面における分子配向の研究 反射赤外分光装置(IRAS)に光弾性偏光変調器を組み込み、気体存在下におけるNi単結晶(100)表面上のCO吸着状態を検討した結果、気相のCO圧力増加に伴ってOn-top型吸着COが次第にBridge型吸着COへと変化することを確かめた。吸着分子の表面配向を調べるために、1で創製したNiO(111)表面におけるギ酸の吸着と分解過程を振動分光によって検討した。ギ酸の吸着は清浄なNiおよびNiO薄膜ともにギ酸イオンの形で起こり、OCO対称伸縮振動のみが顕著な吸収を示すことから表面垂直方向に吸着すること、酸化膜表面の方においてより安定に存在することがわかった。また、表面NCO吸着種については、室温で酸化膜表面で傾いて吸着し、温度上昇に伴い表面垂直に向くことがNCO逆対称伸縮振動の強度変化から観測された。
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