研究概要 |
本研究課題の遂行のために'素性のよい'反応系を探索してきたが、「一酸化炭素の酸化反応」に的を絞ることにした。 金属触媒によるCOの酸化反応はもっとも単純な触媒反応のひとつであり、排気ガス対策などで実用的にも重要な反応であるため、多くの研究者によって様々な研究がなされている。 1.ルテニウム触媒(触媒学会の参照触媒)を用いて、 (1)周波数(FR)応答データを、反応圧力は約100Pa、反応温度は250-350℃で測定した。 (2)パソコンを用いてFRデータのシミュレーションを行い、5段階の素反応についての、13個の速度係数を求めた。 (3)これらの結果に基づいて、各段階での自由エネルギーの散逸速度を求めた。 2.最もよく研究されている白金触媒に対象を拡大して、(1),(2),(3)の実験を繰り返した。その結果、ルテニウム触媒とはO_2(ads)【double arrow】2O(ads)の過程が一番顕著に異なっていることなどがわかった。 3.白金族以外の代表的な触媒として、(元素分析用の)銅粒子を用いて、(1),(2),(3)の実験を繰り返した。 4.1.の段階で結果をまとめて、2001年11月にJ.Phys.Chem.に投稿したが、2002年3月中旬の現在も、まだ受理通知を受け取っていない。 以上のような研究成果の中で、FR法の有効性の確信を深め、FR法の特色を直裁的に示す「反応速度スペクトロスコピー」と命名することを、上記の投稿論文の中で提唱している。
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