研究概要 |
1.Ru-Os混合結晶での素反応の速度の決定と距離依存性 [Os_xRu_<1-x>(bpy)_3]X_2(bpx=2,2'-bipyridine)結晶内でのRu(II)からOs(II)への光エネルギー移動反応は励起移動と直接のいろんなサイト間でのエネルギー移動からなり一見複雑であるが、低濃度ドープにより励起移動速度を、高濃度ドープによりエネルギー移動速度を検討できる。まず結晶構造のわかっている系で対イオンを変えることでサイト間の距離を変化させ励起移動のホッピング速度の距離依存性を明らかにした。高濃度ドープ試料については、発光減衰をモンテカルロシミュレーションによって解析し近接したサイト間での距離に依存したエネルギー移動反応速度(10^<-11>s^<-1>)を決定することに成功した。現在のところ明らかになった距離の範囲が狭い(0.76-0.82nm)ので測定例を増やす予定である。KC1によって希釈したRu結晶について過渡吸収測定を試みT-T消失による同種分子間の電子移動状態の生成を確認した。その電子移動速度は5×10^<-10>s^<-1>以上と推定された。 2.錯体結晶薄膜での励起ダイナミックスの測定。 光電導素子として注目されているオキソチタニルフタロシアニン結晶膜について励起子の出す近赤外のきわめて弱い蛍光を見出し、寿命測定をおこなった。2成分減衰中の主成分である短寿命発光成分の収量が強く温度に依存し、最低エネルギーの励起子吸収帯でも光伝導性を示すことから励起子帯より若干高い位置に伝導体があると考えられる。
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