計画書段階で予定した小型化はシンセサイザーが予算的に購入不可能なため、既存分光器の大改造により所期の目的を達成することにした。ところが、分光器の光源(HP8673Dシンセサイザー)が平成11年夏に故障し、さらに予算が減少する仕儀になってしまった。 既存分光器の改造点は 1.直径350mm凹球面鏡を真空容器のフランジに直結した。2.外部に露出した鏡背部に分子流ノズルを接続し、固体用試料貯を種々作製した。3.購入したマイクロ波増幅器を使用し4〜12GHz領域において数100μW以上を空洞に導入することが出来た。4.4〜12GHz領域のマイクロ波回路部品を購入し、目的錯体の低J遷移の測定にそなえた。5.既存の分子流モニター用四重極型質量分析計を真空容器へ接続するための配管を一部完成した。6.質量分析計の分光器本体への出し入れ機構を設計し試作中である。 研究の目的である気相状態におけるカテコールと水、安息香酸と水およびアニソールと水の水素結合錯体(1:1錯体)の構造をMP2以上のレベルで予測した。 また、改造第二段階である低周波数領域用の大型凹球面鏡(直径520mm)の研磨装置を製作した。それにより2個の鏡を所期の形状精度で製作出来たと思われる。 次年度は、分子流中の目的錯体をモニターするため、上記質量分析計に既存のYAGレーザーを使用した光イオン化機構を組み込む予定である。
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