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1999 年度 実績報告書

超高速時間分解分光による溶液中およびミクロ環境場での光化学ダイナミクスの研究

研究課題

研究課題/領域番号 11640521
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

田原 太平  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60217164)

研究分担者 竹内 佐年  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (50280582)
キーワード超高速分光 / 光化学 / ダイナミクス / フェムト秒 / コヒーレンス / 時間分解分光 / 光異性化 / 電子緩和
研究概要

1.溶液中で、多原子分子のS_n状態への光励起後に起こる緩和過程について、テトラセンを例にとり、フェムト秒時間分解蛍光分光法によって研究した。S_n蛍光とS_1蛍光の両方を時間分解観測することに成功し、その強度変化および偏光異方性の測定から、(1)約120fsでおこるS_n→S_1電子緩和、(2)電子緩和直後のIVR過程、(3)振動冷却、および(4)回転緩和、など一連の緩和ダイナミクスを明らかにした。
2.ピコ秒時間分解ラマン分光により、最も基本的な反応でありながらその詳細がわかっていないアゾベンゼンの光異性化反応を研究した。光励起直後に現れる過渡吸収に共鳴させて寿命1〜10ps(溶媒に依存)のS_1状態のラマンスペクトルを測定した。^<15>N同位体シフトに基づいてS_1状態のNN伸縮振動数を決定し、S_1状態でNN結合が二重結合性を保っていること、よって分子はNN結合まわりで平面構造を保っていること、を明らかにした。さらにピコ秒アンチストークスラマンスペクトルの測定によって、S_1状態およびS_0状態における振動緩和過程を明らかにした。これらにより、アゾベンゼンのππ*(S_2)励起に伴う光異性化はこれまで言われていたのとは異なって、反転(inversion)機構による異性化である可能性が高いことを示した。
3.光学領域の時間分解測定の分解能を極限まで高めるため、光パラメトリック増幅(OPA)を用いて500nm-750nmの範囲で波長可変なサブ10fsの光パルスを発生する装置を製作した。さらにこの極短パルスをプローブ光に、またその2倍波をポンプ光に用いる時間分解吸収測定システムを製作した。製作した装置を使って、光励起直後の分子の振動コヒーレンス(核波束運動)の観測を行った。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] N Sarkar et al.: "Vibronic Relaxation of Polyatomic Molecule in Non-polar Solvent : Femtosecond Anisotropy/Intensity Measurements of the S_n and S_1 Flicorescence of Tetracene"Journal of Physical Chemistry A. 103. 4808-4814 (1999)

  • [文献書誌] S. C. Jeoung et al.: "Ultrafast Decay Dynamics of Photoexcited Cu(II)(TMpy-P4) in Water Solvent"Chemical Physics Letters. 309. 369-376 (1999)

  • [文献書誌] T. Tahara et al.: "Femtosecond Material Response Probed by Phase-Stabilized Optical Heterodyne Detected Impulsive Stimulated Roman Scattering"Laser Chemistry. 19. 149-152 (1999)

  • [文献書誌] T. Fujino et al.: "Picosecond Time-Resolved Roman Study of Trans-Azobenzene"Journal of Physical Chemistry A. (印刷中).

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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