研究概要 |
2重反転型ポルフィリンは、5種類の位置異性体が存在するが、大別して、隣同士のピロール環が互いに反転したシス型と向かい合ったピロールが反転したトランス型がある.そこでそれぞれの合成法について検討した.まず、トランス型の合成法として、2,4-ジホルミルピロールと無置換ピロールとの環化縮合反応を行ったところ、2つのホルミル基の一方のみが反応し、テトラピロリルポルフィリンが得られてくることがわかった(Org.Lett.2000,2,187-189).このものは、酸性条件下、600-700nm付近に大きな吸収帯をもつことから、ガンなどの光治療法への応用が期待される. 一方、シス型の二重反転ポルフィリンに関しては、2,3'位が結合した混乱ジピロメタンとペンタフルオロフェニルアルデヒドとの間の環化縮合反応を用いることで、低収率(3%)ながら合成に成功し、その金属錯化挙動について検討することができた.その結果、シス型2重混乱ポルフィリンは銅(3価)や銀(3価)イオンと安定な錯体を形成することがわかり、混乱ピロールの数を一つ増やすことにより、金属酸化状態を1段階増加させることが可能なことが示された(J.A.C.S.2000,122,803-807.)
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