反転ピロールを骨格内部にもつ、種々のN-混乱ポルフィリン(NCP)の合成、及び、反応性、錯化挙動を中心に研究を行った。まず、NCPの安定性について検討した結果、反転ピロール環の再反転が起こり、新規ポルフィリノイド、N-フューズポルフィリン(NFP)が生成することを見いだした。また、合成条件を変えることで、環拡張型のN-フューズペンタフィリンも生成した。金属錯化をPdで行うと、ダブルデッカー型の2量体が生成することが明らかとなった。さらに、2重反転型NCPでは、Cu(III)やAg(III)などの高酸化状態の金属イオンと平面4配位錯体を形成するが、Pdを用いた場合はC-アリル化が進行した。15族アンチモンとの配位では、中性6配位錯体が得られた。当初期待した、14族金属イオンとNCPの安定錯体に関しては、化合物は得られたものの、不安定なため、その構造を決定するには至らなかった。 多重反転NCPの合成が必要であると結論した。
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