研究概要 |
アルコキシ置換活性型不飽和カルボニル化合物(メトキシメチレンアセチルアセトン、ブトキシメチレンシアノアセトアルデヒド、(E)-4-メトキシ-2-オキソ-3-ブテン酸)はδ,ε-不飽和アルコール(5-メチル-4-ヘキセン-1-オール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オール、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-2-オール)共存下加熱還流により、エーテル交換反応を経る分子内ヘテロDiels-Alder反応が立体選択的に進行し、対応するヒドロピラノピラン誘導体が高収率で得られた。本連続反応は、1)用いる不飽和アルコールの級数に関係なく進行する一般性の高い反応である、2)E-,Z-不飽和アルコール(E-,Z-4-メチル-3-ペンテン-1-オール)との反応の検討により立体特異的に進行する、3)触媒量のルイス酸により顕著な反応加速が認められる、4)γ,δ-不飽和アルコール(4-メチル-3-ペンテン-1-オールとの反応も高立体選択的に進行し、対応するフロピラン誘導体が得られることを明らかにした。また、共役付加・アルコール脱離を経るエーテル交換反応、それに続く分子内ヘテロDiels-Alder反応の多段階反応が単一容器内で行えることも特色の一つである。以上、分子内ヘテロDiels-Alder反応を基盤とする一般性の高い"選択的縮合複素環構築の新方法論"を開拓した。 現在、本連続反応の不斉触媒化への展開を目的として、キラルルイス酸触媒との強固なキレーションによって効果的不斉場の構築が期待できる(E)-4-メトキシ-2-オキソ-3-ブテン酸を基質として用い、5-メチル-4-ヘキセン-1-オールとの反応を種々のキラルルイス酸触媒下で検討した。その結果、ビスオキサゾリン誘導体を配位子とする金属錯体が最も効果的に機能することを見い出した。
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