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2000 年度 実績報告書

キラルなβ-ラクタムを用いるポリアミンアルカロイドの実用的合成

研究課題

研究課題/領域番号 11640542
研究機関東京都立大学

研究代表者

松山 春男  東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (30087118)

キーワードキラルなβ-ラクタム / ポリアミンアルカロイド / 9員環イミノエーテル / ジヒドロペリフィリン / 縮合および還元 / 環拡大反応
研究概要

13員環や17員環の骨格を有する天然ポリアミンアルカロイドの一群は、植物より単離され、抗腫瘍活性や血圧降下作用などの生理活性を示すことから、近年それらの合成に興味がもたれている。これらのアルカロイドはβ-アミノ酸単位を骨格に含んでおり、生合成経路は明らかにされていないが、一つの可能な経路としてケイ皮酸とポリアミンとから生成されると考えられる。私たちはキラルなβ-ラクタムを合成原料として種々のアミノ保護基を有する環状イミノエーテルとの縮合わよび還元による環拡大反応を鍵段階とする反応条件の確立を目的として、光学活性な13員環ポリアミンアルカロイド(ジヒドロペリフィリン)の合成を検討した。その結果、キラル中心の立体配置を保持したままβ-ラクタムとの縮合および還元による環拡大反応が進行することが明かとなった。本方法は、光学活性な大環状ポリアミンアルカロイドの合成法として有用である。
9員環イミノエーテルの原料である9員環ラクタムの合成は、小さなヘテロ環から出発して縮合と還元を行って環を拡大していく方法を用いた。β-ラクタムとN-アセチル基を有する9員環イミノエーテルとの反応で生成した縮環化合物は光学活性カラムにより分離可能で、HPLC分析によりその光学純度が100%eeであることがわかり、β-ラクタムとイミノエーテルとの縮合反応条件下でラセミ化せずに反応が進行することが明かとなった。酢酸を溶媒としてシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる縮環化合物の還元反応では、ほとんどラセミ化せずに進行することが分かっているので、縮環化合物を還元により環拡大して13員環アザラクタムを得た。この方法により、光学活性な13員環ポリアミンアルカロイドであるジヒドロペリフィリンが合成できた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] H.Matsuyama,A.Kurosawa,M.Yoshida,M.Iyoda et al.: "Synthesis of Polyamine Alkaloids by the Condensation of a Chiral β-Lactam with a Cyclic Imino Ether. (S)-Dihydroperiphylline and Its Derivatives"Chem.Lett.. 1104-1105 (2000)

  • [文献書誌] H.Matsuyama,T.Nakamura,and M.Iyoda: "Synthesis of Fischer-type (Alkoxy) carbene Complex Using Diphenyl-sulfonium Salts with Functionalized Alkyl Groups"J.Org.Chem.. 65. 4796-4803 (2000)

  • [文献書誌] M.Iyoda,T.Kondo,H.Matsuyama, et al.: "A Cyclic Oligophenylene Containing Two 1,8-Naphthalene Units Bridged by Two Face-to-Face Biphenyl Linkages Exhibiting Unusual Strain and π-π Interaction"Org.Lett.. 2. 2081-2083 (2000)

  • [文献書誌] M.Iyoda,K.Fuchigami,H.Matsuyama, et al.: "Z-Tribenzo[c,g,k]-1,2,5,6-tetradehydro[12] annulene, a Concave π-Electron System"Chem.Lett.. 860-861 (2000)

  • [文献書誌] M.Iyoda,N.Nakamura,H.Matsuyama, et al.: "Novel Synthesis of Hexaaryl [3] radialenes via Dibromo [3] dendralenes"Tetrahedron Lett.. 41. 7059-7064 (2000)

  • [文献書誌] K.Okuma,Y.Koga,H.Matsuyama, et al.: "Reactions of Selenobenzophenones with Olefins. Formation of 1H-2-Benzoselenopyrans. Reaction of 1H-2-Benzoselenopyrans with Diazoalkanes"J.Org.Chem.. 65. 2090-2095 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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