研究概要 |
本研究の準備段階において、1-aryl-5-t-butyl-4,4-dimethyl-2,6,7-trioxabicyclo[3.2.0]heptane(I)が熱安定性に優れたCIEEL(Chemically Initiated Electron Excahnge Luminescence)-型発光基質の基本骨格となることを見い出している。ジオキセタン(I)の合成は相当する5-aryl-2,3-dihydrofuran(II)への一重項酸素の1,2-付加によっている。そこで、本研究の第一歩として、ジヒドロフラン(II)骨格の2位に嵩高い置換基を導入し、一重項酸素の1,2-付加においてπー面選択性が発現されるか否かを検討した。その結果、置換基としてフェニル基やt-ブチル基を導入したとき、立体異性ジオキセタンが95:5の比で得られることが分かった。それぞれの異性体は単離可能で、かついずれも熱安定性に優れ、室温で十分に取り扱えるものであった。いずれの異性体も非プロトン性極性溶媒中、フルオライドで処理することにより効率良く青色発光するが、一重項励起分子の生成効率の異なることが分かった。これは、今注目されている、CIEEL-型発光の化学励起過程を知る上で重要な知見となるものである。ジヒドロフラン(II)の3位にメチル基および嵩高い置換基を導入した基質についても一重項酸素の1,2-付加におけるπー面選択性がかなり認められることが分かった。
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