研究概要 |
1 種々のε-置換α、γ-ジエノンの1、6-遠隔不斉還元についてまず検討した。(4E、6E)-2、2、9、9-テトラメチル-8-フェニルチオ-4、6-デカジエン-3-オンを水素化トリ-sec-ブチルホウ素リチウムと反応させたところ、(4E、6E)-2、2、9、9-テトラメチル-8-フェニルチオ-4、6-デカジエン-3-オールがsyn体とanti体の63対37混合物として定量的に得られた。8位のフェニルチオ基の代わりにベンジロキシ基、ベンゾイロキシ基、t-ブチルジメチルシロキシ基およびN、N-ジベンジルアミノ基が置換した化合物を用いた場合のsyn体とanti体の比率はそれぞれ46:54、68:32、56:44と39:61になった。 2 (4E、6E)-2、2、9、9-テトラメチル-8-フェニルチオ-4、6-デカジエン-3-オンの溶液中における構造をつぎにIRと^1HNMRを用いて検討した。25℃における四塩化炭素中でのIRスペクトルはカルボニル基に由来する吸収を1684cm^<-1>のみ示した。これより、-CH=CH-C(O)-はほとんどがs-cis配座をとっているものと考えられる。一方、25℃における重クロロホルム中での^1HNMRスペクトルはJ_<H5,H6>=10.9HzとJ_<H7,H8>=10.2Hzを示した。これらから、-CH=CH-CH=CH-はほぼ平面のs-trans配座をとり、他方、フェニルチオ基は1、3-ジエン平面にほぼ垂直な位置を占めているものと推測される。
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