研究概要 |
H_2IrCl_6,CH_3CO_2Li,CH_3CO_2H,(CH_3CO_2)_2Oを原料として1段階の合成法で合成される[Ir_2(O_2CCH_3)_2Cl_2(CO)_2](酢酸イオンを架橋配位子とし一酸化炭素と塩化物イオンがエカトリアル配位子)の架橋配位子の置換を目的として合成を行った.この錯体を原料として,2-ヒドロキシイソキノリン(Hhiq)と反応させることにより錯体の酢酸架橋がhiq^-に置換した錯体を合成した.この錯体のアキシアル位にメチルピリジン(mpy)およびトリフェニルホスフィン(PPh_3)を結合させた化合物[Ir_2(hiq)_2Cl_2(CO)_2L_2]を合成しX線構造解析を行った.Hiq配位子はN,Oが互い違いに配位した構造であった.Ir-Ir距離は酢酸架橋の錯体とほぼ同じでそれぞれ2.5928(7),2.634(2)Åであった.また,4-メチル-2-ヒドロキシピリジン(Hmhp)と[Ir_2(O_2CCH_3)_2Cl_2(CO)_2]を封管中,130℃で反応させると3つの架橋配位子を持つ[Ir_2(mhp)_3(CO)_2Cl(Hmhp)]が生成した.この錯体はN,Oがすべて同じ向きに配位しておりNが配位したイリジウムのアキシアル位に塩化物イオンが配位していた.Ir-Ir距離は架橋配位子が2つの錯体と比べて短く2.5491(3)Åであった.また,酸化還元反応性をサイクリックボルタンメトリーによって調べた.[Ir_2(hiq)_2Cl_2(CO)_2(mpy)_2]は不可逆な酸化波のみが観測された.[Ir_2(hiq)_2Cl_2(CO)_2(PPh_3)_2]および[Ir_2(mhp)_3(CO)_2Cl(Hmhp)]はスキャン速度を速めると0.53,0.95Vにそれぞれ可逆な波が観測された.
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