研究概要 |
ジメチルホスフィノ基を配位基とする二座および三座配位子を含むクロム(III)錯体とホスフィンーチオラート混合二座配位子を含むチタン(III)およびチタン(IV)錯体を合成した.X線結晶解析によって構造を決定し、各種分光学的手法によって物理的、化学的性質を明らかにした。以下にその概略について示す. 1.クロム(III)錯体: 1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジメチルホスフィノ)プロパンおよび1,1,1-トリス(ジメチルホスフィノメチル)エタンを含む17種の新規クロム(III)ホスフィン錯体を合成した.これら錯体の電子スペクトルを角重なりモデルを用いて解析し、各ホスフィン配位子の配位子場パラメータを決定した. 2.チタン(III)およびチタン(IV)錯体: 2-(ジメチルホスフィノ)エタン-1-チオラートおよび3ー(ジメチルホスフィノ)プロパン-1-チオラートを用いて、12種の新規チタン(III)およびチタン(IV)ホスフィン錯体を合成した.これらのうち8種の錯体については、X線結晶解析によって構造を決定した.合成した錯体の型は、Cp2TiL2,[Cp2TiL]^+,Cp2TiL,[Cp2TiL2Cu]^+,[Cp2TiL2Ni]^+,Cp^*TiL3およびTiL4である(Cp=シクロペンタジエニド,L=ホスフィンーチオラート配位子、Cp^*=ペンタメチルシクロペンタジエニド).^<31>PNMRによって、溶液中の動的挙動についても明らかにした.
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