研究概要 |
多数見出されているポルフィリン結合性-本鎖DNAの中で、最も優れた金属イオン挿入反応活性を有する塩基配列はTCGTG GGTCA TTGTG GGTGG GTGTG GCTGG TCCの33量体である。本研究では、触媒活性と塩基配列の関連を解釈するために系統的な塩基配列を合成した。(1)この配列の1部分を切り出した短鎖の塩基配列の合成。(2)本配列に数個含まれるCおよびAに着目し、それらをTあるいはG等に置換した33量体の合成。(3)安定なグアニン4重鎖を形成する既知の配列にCあるいはA導入した新規配列の合成。金属イオン挿入反応の解析は、既存の高速液体クロマトグラフを使用して実施した。CDスペクトル測定によって,これらの配列は平行および反平行型4重鎖構造を示し,後者に高い触媒活性が認めらた。さらに、このG4重鎖構造を形成する条件でNMM(Nメチルメソポルフィリン)を添加すると、グアニン4重鎖-イミド水素の高磁場シフトおよびヘムのプロピオン酸残基に及ぼすグアニンからの環電流効果等によるケミカルシフトの変化が認められた。これは,ポルフィリンがG4重鎖とインターカーレーションによって強く相互作用している可能性を示唆している。金属イオン挿入反応の過程では,グアニン4重鎖構造が作り出す疎水環境場が重要な役割を果たしていることが明らかされた。
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