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2000 年度 実績報告書

DNA4重鎖構造を反応場とする金属酵素類似反応系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 11640563
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

田嶋 邦彦  京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50163457)

キーワードDNA / DNA酵素 / 溶液構造解析 / DNA4重鎖 / ヘム-DNA相互作用 / 銅錯体 / ポルフィリン
研究概要

これまでに、ポルフィリンに親和性を有するDNA配列が数種類見出されており、そのらの一部分はポルフィリンへの金属イオン挿入反応を触媒することが知られている。このようなポルフィリン結合性一本鎖DNAの中で、最も優れた金属イオン挿入反応活性を有する塩基配列はdGTGGGTTGGGTGGGTTGGの18量体(DNA1)である。本研究では、触媒活性と塩基配列の関連を解釈するために系統的な塩基配列に着目した。例えば、連続するGGGの配列をGGGGで置換したGTGGGGTTGGGGTGGGGTTGG配列(DNA2)、および短鎖のdTGGGT配列(DNA3)を合成・精製した。DNA1は無触媒条件に比べて約8倍の反応速度でポルフィリンへのCu(II)イオン挿入反応を促進する活性を示した。CDスペクトル測定の結果からDNA1はparallel型四重鎖形することが支持された。DNA2およびDNA3はDNA1に比べてより安定な4重鎖を形成するにも関わらず触媒活性を示さなかったことから、G四重鎖以外に触媒機能に必要な因子があることが示唆された。DNA3にN-methyl-mesoporphyrin(NMM)を加えて得られたNMRスペクトルでは、G4重鎖における両端のGイミノプロトンに環電流効果に起因する高磁場シフトが認められ、ポルフィリンは四重鎖にインターカレートするのではなく、G-quartetの両端にスタッキングすることが示された。さらに、DNA1のCu(II)錯体は平面4配位構造を示し、可能な配位子はG四重鎖に関与していない2つのGとして帰属された。以上結果から、金属挿入反応における触媒部位は、Cu(II)イオンが配位しうるGが複数個存在するG四重鎖構造の近傍である可能性が示唆された。本研究によって、DNA鎖の酵素類似活性はG四重鎖の疎水環境と金属配位部位の共同作用によって発現することが結論された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kenji Kanaori: "Structure and stability of consecutive stereoregulated chiral phosphorothioate DNA duplex"Biochemisty. 38. 16058-16066 (1999)

  • [文献書誌] Toshinori Suzuki: "Osolation and characterization of diazoate intermediate upon nitrous acis and nitric axide treatment of 2'-deoxycytidine"Biochemistry. 38. 7151-7158 (1999)

  • [文献書誌] Toshinori Suzuki: "Formation of 2'-deoxyguanosine and nitrous acid ; Mechanism and intermediate"Nucleic Acids Research. 28. 544-551 (2000)

  • [文献書誌] Shin'ichi Nakatsuji: "Preparation and properties of biradicals and related CT complexes based on 4-substiotuted-amoni-TEMPO radicals"Mol.Cryst.,and Liq.,Cryst.,. 334. 205-210 (1999)

  • [文献書誌] Yuji Kajikawa: "Crystallographic and ESR studies of π-π stacked binuclear copper (II) complexes of bis (quinoline-3-caeboxiamido) propane"Inorg.Chimica.Acta. 288. 90-100 (1999)

  • [文献書誌] Kenji Kanaori: Nucleic Acids Research. 29. 831-841 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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