1)様々なヘキサピリジン配位子を合成して、そのμ-η^2:η^2-パーオキソ二核銅(II)錯体を得た。これらの錯体は、酸素分子を可逆的に結合した。μ-η^2:η^2-パーオキソ二核銅(II)錯体による酸素分子の可逆的結合は銅まわりの歪みによって達成されていることがわかった。そこで、さらに歪みの大きいμ-η^2:η^2-パーオキソ二核銅(II)錯体を合成して、可逆的な酸素分子の結合が容易に起こることを示した。また、oxyHcによる酸素分子の可逆的吸脱着において重要な働きをしていると考えられている銅-銅間の距離の効果を再現する機能モデルの合成を試みた。このための配位子として、長いスペーサーをもつ新たなヘキサピリジン配位子を合成した。銅-銅間の距離が大きくなると、酸素分子に対する親和性が低下して、容易に酸素分子を脱離することが示された。従って、銅-銅間の距離の変化は、μ-η^2:η^2-パーオキソ二核銅(II)錯体による酸素分子の可逆的吸脱着に重要な働きをすることが示された。6位メチル基をもつヘキサピリジン配位子のパーオキソ二核銅錯体は、オキシヘモシアニンの構造を再現するだけでなく、室温付近で可逆的に酸素分子を吸着する機能モデルとして有用である。2)ヘキサピリジン配位子のパーオキソ二核鉄錯体に、DMFの存在下、酸塩化物を作用させると、パーオキソ酸素を活性化することができ、シクロヘキサンをシクロヘキサノールに酸素化した。
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