液晶性物質の分子間相互作用と偶奇効果

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11640577
• 研究機関: お茶の水女子大学
• 研究代表者: 堀 佳也子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70029891)
• キーワード: 分子間相互作用 / 結晶構造 / 液晶 / 赤外分光 / エステル結合

研究概要

1)系統的な結晶構造解析により、アルキルシアノビフェニル(nCB)系列の結晶構造に顕著な偶奇効果を見いだした。この結果をもたらす分子間相互作用を開明するために、nCBとアルコキシシアノビフェニル(nOCB)系列、およびエステル結合の向きが逆のシアノエステルの同族列について、赤外分光法により、それぞれの系列に働く分子間相互作用の差を、孤立分子、液晶相について明らかにした。また、既に解析した結晶構造を基に、シアノ基の配列と振動の波数についての関連を見いだした。
2)相転移挙動に顕著な偶奇効果を示すツイン型液晶物質の系統的な結晶構造解析を行い、鎖の偶奇により、コンフォメーションが著しく異なることを明らかにした。
3)分子の非対称性が液晶挙動を著しく変える化合物の例として、一般式
【chemical formula】(X=COOあるいは、X=OCO)
を合成し一部については結晶構造解析を行った。また、比較のため、キラル部が直鎖の化合物を合成し、単結晶化を試みている。
4)ビフェニルエステル類の系統的な結晶構造解析の結果から、結晶構造におけるエステル結合の配列が、末端鎖がアルキルかアルコキシかで、パターン分けされることを、見いだし、その分子間相互作用に関して、計算化学的手法による解明を、行っている。

研究成果

• [文献書誌] K.Hori,H.Wu: "Crystalline Polymorphs of Higher Homologues of 4'-alkoxy-4-cyanobiphenyl, nOCB (n=8, 9, 10 and 12)"Liq. Cryst.. 26. 37-43 (1999)
• [文献書誌] M.Kuribayashi,K.Hori: "Crystal structures of 4'-hexyl-4-cyanobiphenyl (6CB) and 4'-heptyl-4-cyanobiphenyl (7CB) in relation to odd-even effect"Liq. Cryst.. 26. 809-815 (1999)
• [文献書誌] K.Tamura,H.Uchida,K.Hori: "Influence of Directions of Two Ester Linkages on Crystal Structures of Isomeric Mesogens"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 330. 201-206 (1999)
• [文献書誌] K.Tamura,K.Hori: "Intermolecular Interactions in Crystal Structures of Isomeric Mesogens with Two Ester Linkages"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 73(in press). (2000)